カンツォーネのコンクール第22回<太陽カンツォーネ・コンコルソ>が6月7日に浜離宮ホールで行われます。
僕自身はまったくコンクール志向がなくて無縁だったので、生徒にもコンクールへの参加を勧めたと云う事がほとんどありません。しかし今まで数名生徒がこれに入賞し、ことに3年前には優勝もしてしましました。そして去年からうちの男性の生徒で70代のK氏がこれにチャレンジしています。去年は一次のテープ審査は通ったものの、スタジオでの2次審査はあえなく撃沈でした。
昨年はその後イタリア文化会館でイタリア語の勉強も始め、夏には短期留学奨学金を得て1ヶ月イタリアに語学留学。更にイタリアではナポレターナの発音や歌詞の解釈も勉強してきたそうです。僕のレッスンも個人レッスンのほかにイタリア文化会館のクラスも受講。本当に熱心に、積極的に勉強を続けていました。
しかしコンクールはもう懲りたかな?と思っていたら今年も再チャレンジしたいと云うことでまた猛練習。昨日2次審査の発表があって今回は見事に通過、本選に出場出来ることとなりました。
カンツォーネのコンクールのクラシック部門(クラシック系のカンツォーネをノーマイクで歌う部門)を受ける人の中にはかなりの割合でいわゆる「のど(声)自慢」の人達が多く出て来ます。勿論カンツォーネを歌うくらいですからカンツォーネが好きなのはわかるんですが、単に高い声が出るか、とか大きい声を出すことに目的があって、詞の意味も分からず曲や音楽の何たるかもわからず、ただ「声出し競争」のみで声を張り上げまくっているわけです。
そんな中にあって彼は(勿論良い声をしていますし日本人には珍しい深いバスの声)詞の意味、曲の背景を研究し、何を表現すべきか自らの人間性と心のフィルターを通してきちんと考え、感じて歌うので、その点が声出し競争に辟易としている審査員の方々に評価されたに違いありません。
ただし本選ともなると、長年の専門教育を受け訓練された声と技術を持ち、更に豊かな感受性や音楽性を持った人達がたくさん出て来ます。そうなる素人で、音楽教育は全く受けていないし、僕の所で歌を勉強し始めたのは65歳で定年退職する直前からという彼の技量では、そんな人達には到底太刀打ちできません。しかしそんな中にあって、一人の男の人生を込めた情熱のカンツォーネがきっと聴衆の胸に何かを残してくれると信じています。
さて写真は全くコンクールとは関係なく、隣町の昔の里山の自然を一部保存整備してある遊歩道に咲いていた蘭の一種で名前は不明、恐らく自生している物だと思います。美しく咲いていたのでウオーキングのついでに撮ってきました。