一昨日東京のヤクルトホールで開催された「カンツォーネ大集合」に出演して、カンツォーネ・ナポレターナの「漁師の祈り(Preghiera 'e Piscatore)」を歌って来ました。
このカンツォーネ大集合というコンサートは、日本にカンツォーネを広められ、先日96才で天国に召された荒井基裕先生の「カンツォーネ研究所」主催で今回が第65回目というコンサートです。大集合の名に恥じず、アマチュアからプロまで52名が出演してカンツォーネを歌いました。僕も15年前からほぼ毎年出演させて頂いています。
ぼくが今回歌った「漁師の祈り」は友人でもあり、コンサートで数回共演している、ナポリの伝統的カンツォーネの第1人者、マリオ・マリオーネが作曲した曲です。ナポリの漁師達の信仰を集める「ピエディグロッタ・聖母マリア教会」のお祭りの日(9月10日)のミサで、魚を捧げ持った漁師達と共に、マリオ・マリオーネ自身がこの歌を歌いながら祭壇に進み出ます。
その様子を彼のFBで知り、その歌に感動して彼から歌詞を教えてもらい、更に自分で訳詞を付け、先日のリサイタルで初めて歌い、大好評を頂きました。こんな歌詞です(僕の訳詞・意味は原曲通り)
♩海の幸を港から あなたの元に届けて 辛い漁師の人生も ピエディグロッタの聖母に 祈りを捧げる我等を 聖母は守りたもう 幾日も魚が捕れず 空しく家に帰るとき 望みをなくしかけた 我等を腕に抱き寄せ 決して見捨てることなく 聖母は守りたもう・・・♩
ナポレターナ(ナポリのカンツォーネ)には漁師の歌が無数にありますが、そのほとんどは恋の歌ばかり。漁師の現実の生活や信仰心を歌った数少ない(というか僕はこれしか知らない!)美しい歌です。荒井先生は日本にカンツォーネがまだ知られていなかった頃に、カンツォーネという広く深い海にこぎ出され、多くのカンツォーネという美味しい魚を獲って私たちに与えて下さった「カンツォーネの漁師」だったとも思っています。そんな荒井先生への感謝、尊敬、追悼の気持ちも込めて歌わせて頂こうと思ったわけです。
夕方、会場に到着すると、ある荒井先生のお身内の方(先日のリハーサルで僕の今回の歌を聴いておられる)から、「先日聴かせて頂いて青木さんの歌が素晴らしくて心に染みわたりました!今日もどうぞよろしくお願いします!」とお言葉をかけて頂来ました。
歌い終わって舞台から楽屋に続く廊下を帰ってくると、他の出演者からまず「まるで少年のような清らかな声だった!」という感想が! 聴いたことがない曲だがどんな歌なのか?という質問も。恐らくこの歌を歌っているのは日本では僕だけだと思うので、プロ歌手も知らないわけです。終演後ロビーに出ると、見ず知らずの男性のお客様が話しかけてこられ、「青木さんの歌を初めて聴かせて頂きましたが、感動の余り涙が出ました!」。僕のファンの方々からも(皆さんはこの歌を、僕のリサイタルで既に一度聴いて下さっています。)「今日は一段と素晴らしくて涙が出ました!」と言って頂けました。
僕はクリスチャンではありませんし、宗教心も持ち合わせてはいませんが、この歌は詞もメロディーも僕の心に染みる歌で、これから大事に一生歌い続けていこうと思っています。本当に良い歌を作ってくれたマリオーネに感謝です。