モッツァレッラ工房から戻った頃、アレッサンドロから又電話、今晩も歌おうよ!との誘い。この夜はナポリの下町を真っ二つに切り裂く道、通称「スパッカナポリ」Via Croce(クローチェ通り)路上でのライヴになりました。ライヴと言ってもお金を取ったわけでなく、数日後に予定されているフェスタのための練習で、路上のベンチで勝手に歌ってただけだったんですが・・・。
その道端にはお土産なども売る新聞・雑誌売り場があり、数カ国の国旗が飾られていたのですが、何とイタリア国旗と日本国旗が隣同士に掲げられていました。その向かいには古代ローマかギリシャぽい、立派な彫刻がド〜ンと置かれていました。
時間は夜8時過ぎでした。アレッサンドロは僕に「夕食は食べた?」と訊くので、「まだだよ」というと、「ちょっと待ってて」と姿を消し、10分ほどすると手に美味しそうな焼きたてのピッツァを持って帰ってきました。道端の石のベンチに腰掛けて早速手づかみで頬ばりました。
さて腹ごしらえが出来たところで早速歌い始めました。はじめは僕ら二人の他に、アレッサンドロの秘書のようにいつも彼を補佐している友人や、ダンサーの友人だけだったのですが、歌い始めると彼らの友人達がやって来たり、通行人が足を止め僕の歌を聴いてくれました。彼らはもちろん一曲ごとに心からBravo!と拍手をしてくれました。是非写真に写っている皆さんの表情をご覧いただきたいのですが、僕の歌に魅了されたと言って手を握ってくれる人多数、じっと立ち去りがたく終いまで聴き入ってくれる人、ついにはギターを持った人が飛び入り参加。一緒にギターを弾いたり、歌ってくれたり。周りでカスタネットを手に踊り出す人達も。ここでも自分の歌がナポリの庶民達に愛してもらえることを実感しました。
僕の横に座っている、僕のパンツと同じ緑色のスカートをはいた若い女性(アレッサンドロの友達)はずっと僕の歌を(うっとりと、と言わせて下さい)聴いていましたが、この日のこのライヴが終わる頃「明後日私の誕生日で、家でパーティーをするんですが、貴方達を是非ご招待したいんです。来てもらえますか?」というお誘い。何か楽しいことがありそうだったのでOKして別れました。この彼女の誕生日のフェスタ、本当に行って良かったです。本当すごい、一生忘れられないような音楽体験をしてきました。それは又いずれ。