僕が一つだけ持っている彫刻作品があります。作者は伊本淳(いもとあつし)。知り合った頃からずっとパリにお住まいでした。今画廊をやっている僕の弟が僕に先立ってパリ留学中にお世話になった方で、僕もその紹介でパリで大変にお世話になっていました。
1977年春パリの先生の作品が展示されているところに行ってその作品を見せて頂いた時の写真です。「甲虫」という作品で、そのピカピカに磨かれた甲の部分にカメラを構える僕と伊本先生が映っています。
ともかくいつもパリに着くと先生が車で迎えに来て、アトリエに連れて行ってくださって、アトリエに泊めて頂き、そこを拠点にしてパリの街を毎日うろついていました。食事にも良く連れて行って頂きました。シューマイが超美味しい中華とか、食べても食べても底が見えないでかい鍋で出てくるクスクスとか、そういえばパリでフランス料理のレストランになんか行ったこと無かったですね。
僕がミラノに住んでいる頃一度ミラノにも遊びに来てくださって、今度は僕が車であちこちご案内したこともありました。もう亡くなってから大分時間がたちます。先年パリに相変わらずお住まいの先生の奥様が久しぶりに日本に帰ってこられた時に、いわば形見分けみたいな格好で先生の立派な「牧人」というタイトルの彫刻を一体頂戴しました。大きくて狭い我が家では置き場所に困り、あるところにお預けしていたのですが、そこにも置いて頂けなくなったので引き取ってきました。今までどこか台の上に置かなくちゃいけないという固定観念にとらわれて、置く場所が見付けられなかったのですが、今回発想を変えて床に直接おいてみました。洋蘭の鉢の間に飾ってみました。緑の葉の間というのは良い置き場所といえるかも。

伊本先生の作品は日本では例えば箱根の「彫刻の森美術館」などに展示されています。
ベランダでミニバラの蕾が大きくなってきました。不思議なことにこのミニバラ、花色は黄色のはずなのですが、この蕾赤くないですか?!